2023/01/03

電気尺の本家 A.W.FABER 378

HEMMI No.3 のコピー元本家の A.W.FABER 378 だが、コピー当時のものではなく年月1桁ずつの Date-Code が入っている1920年代のもの。また社名変更後のブランド名 "CASTELL" が入っている (1914年頃以降 *1)。その後の HEMMI のブランド+ロゴマークの類似から、逸見治郎氏が見たのも "CASTELL" 版である可能性が高い。

A.W.FABER の尺はどれもセルロイド表面が艶やかで (艶消しの程度が甘いのは同社の好みかもしれないが) 美しい。セルロイドはピアノの鍵盤等に使われていたようにヨーロッパでは多くの需要があり、原料の精製技術、表面仕上げの技術は間違いなく日本よりも高かったと思われる。

そして大戦により高品質のドイツ製計算尺の輸出が止まり、HEMMI が台頭して行く事になる。

器種
概要
タイトル A.W.FABER の電気尺
ブランド A.W.FABER
型番 No.378
ロゴ A.W.FABER □"CASTELL"□
□は城をモチーフにしたアイコン、左右対称 (外側に向けて横倒し)
サイズ 10 "
スタイル //Closed||
システム Electro
製造時期 1923/8 (Date-Code:3 8)
製造国 ドイツ (溝右下に刻印 MADE IN BAVARIA)
構造 リベット:正面、エッジ、滑尺の両端すべて
溝:セルロイド
裏窓:⊃⊂切欠タイプ
接合版:鉄?のバー5本
寸法
[mm]
長さ 294
37.5
厚さ 10.5
重量
[g]
総重量 96
カーソル 5
材質 本体 Boxwood、真鍮バー、セルロイド
接合版:鉄
リベット:木ピン (wood pin)
スライド:左端はアルミ
カーソル 【初期型アルミ矩形】
フレーム:アルミ
板バネ:鉄
ウィンドウ:ガラス

目盛り
表面 LL2, A
[B, C]
溝 [E, F]
D, LL3
裏面 -
[S, L, T]
-
計・備考 11尺
目盛線タイプ:Railway track (E, F以外)
その他
目盛り
ゲージ
マーク
【A,B尺】
28.7 [mm2/Ωm]
746 (1HP=745.7W)
π=3.1416
M=1/π: A,B尺での連続計算でπを含む計算に使用。
【C,D尺】
C=√(4/π): C,D尺の直径からA,B尺に面積を計算。
C1=√(40/π): Cと同様だがA,B尺の2単位目 (10~100) に対応。
定規 上 cm
下 inch
付属品 ケース 黒のクロス紙張り厚紙筒、長丸型、鞘方式、305mm。(*3)
マニュアル 欠品
その他
備考 特許等 溝右下に「D.R.PATENT. № 206428.」(*2)
その他 WはLL2/LL3尺を連続して読むためのマークで、LL2尺の1.1-2.9とC尺の1-Wの長さが同じである。LL2の2.9を超えた部分に対して通常はC尺の10を合わせるところをこの位置に合わせてLL3尺を読む。

*1 現存する世界最古の筆記具メーカーで最初に鉛筆を六角形にしたのがこの会社らしい。最近気づいたが学生時代に先輩から譲り受けた製図板がファーバーカステル製だった。
*2 Deutsches Reichspatent (ドイツ帝国特許) № 206428 (1908):ストック上下およびスライドの長さ方向に金属バーを縦に埋め込んで補強するもの。100年を経ても木製尺に反りが発生しないのはこの構造による。
*3 ケースにも「D.R.P. № 206428」

常態

表面、溝

裏面

長さ方向に金属バーが埋められている


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