2022/12/31

コレクションの公開第一号はやはりJ.HENMI (not J.HEMMI) No.1

やっぱり初めの尺はこれ極初期型の「HENMI No.1」しかない。スマホ撮影。トリミングが結構面倒なのでスタンドスキャナーが欲しい。

私が持っているHEMMI計算尺の中で最も古いものだ。あるコレクタの整理出品?から2022年に購入した。カーソルはなかったので同時期の他モデルから拝借して撮影。HEMMI No.1はマンハイム型で、基本構造、尺配置等から、A.W.FABER 364を模倣したものであることは間違いなさそうだ。(*1)

後に逸見治郎氏が回顧しているが、当初は手工業的な工程のため月に1ダース程の生産だったらしいので、このような極初期型のNo.1が3~4年製作されたと仮定するとその出荷本数は500本位と考えている。因みに1923年頃には機械による量産化に成功している。

器種
概要
タイトル極初期型のひとつ。
ヘボン式綴り"J.HEMMI"より前の日本式綴り"J.HENMI" (*2)
ブランドHEMMI
型番No number
いわゆるNo.1の原型 (*3)
ロゴJ.HENMI.TOKYO.JAPAN
アイコンなし
サイズ10 "
スタイル//Closed||
システムMannheim
製造時期1912/5/11 (特許取得後) ~ 1917/12 (ロゴ制定前)
製造国日本
構造【ヘンミ片面G1-極初期型】
リベット:正面、エッジ、滑尺の両端すべて
溝:セルロイド
裏窓:長丸穴タイプ
接合版:真鍮錫メッキ
寸法
[mm]
長さ279.5
32.3
厚さ9.8
重量
[g]
総重量80
カーソル3
材質 本体竹、セルロイド
接合版:真鍮
ネジ:鉄
リベット:アルミ
カーソル欠品 (おそらく初期型アルミ矩形)
フレーム:アルミ
板バネ:鉄
ウィンドウ:ガラス

目盛り
表面A
[B, C]
D
裏面-
[S, L, T]
-
計・備考7尺
目盛線タイプ:Railway track
その他
目盛り
ゲージ
マーク
【A,B尺】
π=3.1416
M=1/π: A,B尺での連続計算でπを含む計算に使用。
【C,D尺】
C=√(4/π): C,D尺の直径からA,B尺に面積を計算。
C1=√(40/π): Cと同様だがA,B尺の2単位目 (10~100) に対応。
定規上 inch
下 inch
溝延長 inch
付属品 ケース欠品 (おそらくA.W.FABERに倣い鞘方式の布紙張り厚紙筒)
マニュアル欠品 (存在自体不明)
その他
備考 特許等日本 No.22129 竹材の組合せ合板計算尺 (1912/5/11) (*5)
スライド表左に「逸見式専賣特許№22129」ストック表下中央に「特許」
その他・トラディショナルな「←±|∓→」「Quot.+1」「Prod.-1」マーク (*6)。
・裏の換算テーブルは本来、縦にフリップして見るものを元の使用者が横フリップ方式で貼り付けてあるため上下が反転してしまう。ある意味天地に対して几帳面とも言える。
・裏の金属板に定数らしきものが幾つか彫り込まれている。何を生業としていたのだろう。

*1A. W. FABER:Slide Rules (andtheugly.com)に詳しい。
*2ローマ字の綴り方:明治18年(1885年)ヘボンの和英語辞典「和英語林集成」第3版で採用した「ヘボン式ローマ字綴り方」を元に羅馬字会、ローマ字ひろめ会が修正を加え、ローマ字ひろめ会が1908年に改正したものが「標準式ローマ字綴り方」。日本式ローマ字を基礎として1937年に改変したのが訓令式。
*3この時期はまだナンバリングしていないと思われる。輸出され始めると"No.1/1"になるのか。"/X" はマイナーチェンジのための番号だと思ったが Paul Ross さんによると、カーソルのヘアラインの数らしい。"No.1"には"/1"しかないようだが。また、ケース底のラベルに使われる"№"の書体の"o"の下が"_"ではなく".."なのは古い表記なのか他で見たことがない。
*4ゲージマーク:norihito4さん の『計算尺の秘密基地』内のMISC.編 MISC. (xrea.com)に詳しい。詳しすぎて感動!
*5逸見治郎氏の特許:簡易検索|J-PlatPat [JPP] (inpit.go.jp)で確認可能。役所の間違いか或いは氏自身の改名か、発明・考案者が「逸見治郎」ではなく「逸見次郎」で、大正10年までの6つの特許、新案登録の内5つが「逸見次郎」となっている。
*6「←±|∓→」「Quot.+1」「Prod.-1」マーク :これもnorihito4さん の『計算尺の秘密基地』内のMISC.編 MISC. (xrea.com)に詳しい。

常態

表面、溝

裏面

側面

2022/12/30

たぶんコレクターの中では随分若い


私は現役で計算尺使用した年代ではない。私が小学校に入る前にHEMMIのDate-Codeの年は"Z" (=1975年) に達していたようだ。初めて手にしたのは小学生の頃で、父が持っていたポケット計算尺 (HEMMI No.32 アクリルレンズタイプ) だった。掛算、割算の方法はその時に教えてもらった。また、父の従兄からはHEMMI No.2662を譲り受けた。これにはさらに目盛りが沢山あって技術者っぽく、カッコいいアイテムというイメージを持ったのを覚えている。

長い間その2本は思い出の品としてしまい込んでいた。10年ほど前に思い出したように計算したくなり2022年現在でも販売されているCONCISEの円盤型計算尺No.300を買って弄ったりした。さらにここ数年、HEMMIやRelay (RICOH)、FUJI等の計算尺がメルカリやヤフオクその他でコレクションアイテムとして売買されているので眺めていると、昔いだいていた憧れのような思いとヴィンテージ感、黎明期~最盛期~斜陽期を60年で駆け抜けた儚さとノスタルジーが相まってついつい買い集めだし、遂に70本を超えてしまった。集めている内にコレクターとしての楽しみ「謎解き」が面白くなり始めたところだ。折角なのでブログに公開して記録することにした。以降、こんなテンプレートでまとめようかと。(*1)

器種
概要
タイトルこの尺の見どころなど
ブランドHEMMI, A.W.FABER など
型番No.XXX
ロゴJ.HENMI.TOKYO.JAPAN
サイズ10インチなど
スタイルPaul Rossさんに倣って:
Duplex, Open, //Closed||, ||Closed||, Closed, Circular など
システムMannheim, Rietz, Log-Log Duplex, Darmstadt, Electro, Telecom, Civil
製造時期1912年
製造国日本、ドイツ、アメリカなど
構造ブランド内の区別など
寸法
[mm]
長さ279.5
32.3
厚さ9.8
重量
[g]
総重量80
カーソル3
材質 本体Boxwood、竹、セルロイド、金属板など
カーソルフレーム:
ランナー:
板バネ:
ウィンドウ:

目盛り
表面A
[スライド]
D
裏面-
[スライド裏]
-
計・備考7尺
目盛線タイプ:Railway track
その他
目盛り
ゲージ
マーク
【A,B尺】
π=3.1416
M=1/π: A,B尺での連続計算でπを含む計算に使用。
【C,D尺】
C=√(4/π): C,D尺の直径からA,B尺に面積を計算。
C1=√(40/π): Cと同様だがA,B尺の2単位目 (10~100) に対応。
定規上 inch
下 inch
溝延長 inch
付属品 ケース
マニュアル
その他外箱、裏テーブルカードなど
備考 特許等日本 No.22129 竹材の組合せ合板計算尺 (1912/5/11) など
その他

*1脚注。もっといい方法ないかな。

太陽がいっぱい


ウニがいっぱい


モヒカンがいっぱい