私が持っているHEMMI計算尺の中で最も古いものだ。あるコレクタの整理出品?から2022年に購入した。カーソルはなかったので同時期の他モデルから拝借して撮影。HEMMI No.1はマンハイム型で、基本構造、尺配置等から、A.W.FABER 364を模倣したものであることは間違いなさそうだ。(*1)
後に逸見治郎氏が回顧しているが、当初は手工業的な工程のため月に1ダース程の生産だったらしいので、このような極初期型のNo.1が3~4年製作されたと仮定するとその出荷本数は500本位と考えている。因みに1923年頃には機械による量産化に成功している。
器種 概要 | タイトル | 極初期型のひとつ。 ヘボン式綴り"J.HEMMI"より前の日本式綴り"J.HENMI" (*2) |
ブランド | HEMMI | |
型番 | No number いわゆるNo.1の原型 (*3) | |
ロゴ | J.HENMI.TOKYO.JAPAN アイコンなし | |
サイズ | 10 " | |
スタイル | //Closed|| | |
システム | Mannheim | |
製造時期 | 1912/5/11 (特許取得後) ~ 1917/12 (ロゴ制定前) | |
製造国 | 日本 | |
構造 | 【ヘンミ片面G1-極初期型】 リベット:正面、エッジ、滑尺の両端すべて 溝:セルロイド 裏窓:長丸穴タイプ 接合版:真鍮錫メッキ | |
寸法 [mm] | 長さ | 279.5 |
幅 | 32.3 | |
厚さ | 9.8 | |
重量 [g] | 総重量 | 80 |
カーソル | 3 | |
材質 | 本体 | 竹、セルロイド 接合版:真鍮 ネジ:鉄 リベット:アルミ |
カーソル | 欠品 (おそらく初期型アルミ矩形) フレーム:アルミ 板バネ:鉄 ウィンドウ:ガラス | |
尺 目盛り | 表面 | A [B, C] D |
裏面 | - [S, L, T] - | |
計・備考 | 7尺 目盛線タイプ:Railway track | |
その他 目盛り | ゲージ マーク | 【A,B尺】 π=3.1416 M=1/π: A,B尺での連続計算でπを含む計算に使用。 【C,D尺】 C=√(4/π): C,D尺の直径からA,B尺に面積を計算。 C1=√(40/π): Cと同様だがA,B尺の2単位目 (10~100) に対応。 |
定規 | 上 inch 下 inch 溝延長 inch | |
付属品 | ケース | 欠品 (おそらくA.W.FABERに倣い鞘方式の布紙張り厚紙筒) |
マニュアル | 欠品 (存在自体不明) | |
その他 | ||
備考 | 特許等 | 日本 No.22129 竹材の組合せ合板計算尺 (1912/5/11) (*5) スライド表左に「逸見式専賣特許№22129」ストック表下中央に「特許」 |
その他 | ・トラディショナルな「←±|∓→」「Quot.+1」「Prod.-1」マーク (*6)。 ・裏の換算テーブルは本来、縦にフリップして見るものを元の使用者が横フリップ方式で貼り付けてあるため上下が反転してしまう。ある意味天地に対して几帳面とも言える。 ・裏の金属板に定数らしきものが幾つか彫り込まれている。何を生業としていたのだろう。 |
*1 | A. W. FABER:Slide Rules (andtheugly.com)に詳しい。 |
*2 | ローマ字の綴り方:明治18年(1885年)ヘボンの和英語辞典「和英語林集成」第3版で採用した「ヘボン式ローマ字綴り方」を元に羅馬字会、ローマ字ひろめ会が修正を加え、ローマ字ひろめ会が1908年に改正したものが「標準式ローマ字綴り方」。日本式ローマ字を基礎として1937年に改変したのが訓令式。 |
*3 | この時期はまだナンバリングしていないと思われる。輸出され始めると"No.1/1"になるのか。"/X" はマイナーチェンジのための番号だと思ったが Paul Ross さんによると、カーソルのヘアラインの数らしい。"No.1"には"/1"しかないようだが。また、ケース底のラベルに使われる"№"の書体の"o"の下が"_"ではなく".."なのは古い表記なのか他で見たことがない。 |
*4 | ゲージマーク:norihito4さん の『計算尺の秘密基地』内のMISC.編 MISC. (xrea.com)に詳しい。詳しすぎて感動! |
*5 | 逸見治郎氏の特許:簡易検索|J-PlatPat [JPP] (inpit.go.jp)で確認可能。役所の間違いか或いは氏自身の改名か、発明・考案者が「逸見治郎」ではなく「逸見次郎」で、大正10年までの6つの特許、新案登録の内5つが「逸見次郎」となっている。 |
*6 | 「←±|∓→」「Quot.+1」「Prod.-1」マーク :これもnorihito4さん の『計算尺の秘密基地』内のMISC.編 MISC. (xrea.com)に詳しい。 |
常態 |
表面、溝 |
裏面 |
側面 |